アクアリウムにおける水槽のpHについて最低限知っておきたいこと

pH(ペーハー)は水槽の水質の中で最も基本的な指標です。

何故かと言うと熱帯魚や水草はそれぞれ適したpHの範囲があるからです。

適したpHから余りに外れたpHで飼育していると、熱帯魚や水草の調子が崩れてしまうことがあります。

ですのでpHについて最低限、早めに知っておいた方がいい重要ポイントをまとめたいと思います。

目次

pHとは?

pHは水溶液の性質を示すひとつの単位のことで、水に含まれる水素イオン濃度指数によって変化します。

pHは7.0を中性とし、それより低ければ低い程強い酸性を表し、高ければ高い程強いアルカリ寄性を示します。

例えば私達が口にするものでもレモン汁はpH2.5、ビールはpH4.2、牛乳はpH6.7などpHにも幅があります。

日本の水道水のpHは?

日本の水道水質基準ではpH5.8~pH8.6の間に収まるようになっているようですが、地域や季節によって変化しますので正確な数値は自分で測定しないとわからないです。

但し概ね中性付近を示すことが多いようで、例えば東京では平成25年度の平均pHは7.6だったそうです。

ちなみに個人的にいくつかの地域で水道水のpHを測定してきましたが、pH7.0~pH8.0くらいの間に収まることが多かったです。

ネットの情報を見ても、その位の数値が多いように感じました。

家庭用とアクアリウムのpHの範囲の違い

pHを数値では無く大まかな単位で表すと、酸性→弱酸性→中性→弱アルカリ性→アルカリ性の順で表すことが出来ます。

これは石鹸や洗剤などの家庭用品にも表示されていますが、家庭用品品質表示法における弱酸性とアクアリウムにおいての弱酸性の範囲は異なります

3.0未満酸性
3.0以上6.0未満弱酸性
6.0以上8.0以下中性
8.0を超えて11.0以下弱アルカリ性
11.0を超えるものアルカリ性
家庭用品品質表示法におけるpHの範囲
~6.0未満酸性
6.0以上7.0未満弱酸性
7.0中性
7.0以上8.0未満弱アルカリ性
8.0以上アルカリ性
アクアリウムにおけるpHの範囲

要は家庭用のpHの範囲は大きすぎるので、アクアリウムではもっと小さくしたpHの範囲で表すことが多いです。

但し一般的には上の表のイメージで捉えて貰えれば問題ありませんが、厳密に定められたものでは無いので、人や商品によって微妙にその範囲は異なります。

例えば中性をpH7.0丁度ではなく、6.8~7.2くらいまでの間を中性と呼ぶ場合もありますので、そこら辺は何となく捉えておけば大丈夫です。

熱帯魚や水草に適したpHとは?

pHのことを何となく理解出来たところでアクアリウムではどの程度のpHがいいとされているか説明します。

結論から言うと現在流通している大部分の熱帯魚や水草は弱酸性の水質が適しています。※海水魚は除きます。

理由は簡単で、熱帯魚や水草が生息している現地の水質が弱酸性の軟水の場合が多いからです。

ですから基本的には弱酸性の水質を保っておけば大丈夫、というシンプルな考え方で問題無い場合がほとんどですが一部、中性から弱アルカリ性の方が適している魚達もいるので代表的な魚達を一応紹介します。

中性から弱アルカリ性くらいが適している主な生体
金魚、メダカ、グッピー、プラティ、モーリー、アフリカン・シクリッド、ベタ

pHを必ず合わせる必要があるか?

弱アルカリ性の方が適している魚達を紹介しましたが、これらの魚達を必ず弱アルカリ性の水質で飼育しないといけないと言う訳ではありません。

魚には適応能力がありますので、例えばメダカを弱酸性の水質で飼育しても急に死んでしまうということはありません。

逆の場合もそうです。ネオンテトラを弱アルカリ性の水質で飼育してもほとんど問題無い場合が多いと思います。

適した水質で飼ってあげた方がいいにこしたことはありません。本来の体色を引き出せますし長生きさせる要因にもなるでしょう。

ただし丈夫な魚に関しては、そのようにpHの範囲は多少ずれても問題無いことが多いですが、水質に敏感な魚は適したpHで無いと飼育が難しい場合があります。

その辺りは事前に確認した方がいいでしょう。

pHの急変には注意

熱帯魚にはpHの適応能力があると前項で書きましたが、pHの急変については別の話になります。

新しく魚を迎える時や水換えを行う際、pHが変化しますが、この際に余りにもpHに落差があるとpHショックと呼ばれるショック症状が生体に起こり、最悪の場合死んでしまいます。

pHショックは生体が水槽内を暴れまわる(もがき苦しんでいる)様子が見られるのですぐにわかります。

ということで、どんなに丈夫な魚であっても導入時や水換えを行う際はpHの急変を起こさせないように注意をする必要があります。

水合わせについては以下の記事で方法を書いています。

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水草とpHについて

繰り返しになりますが水草についても弱酸性の方が基本良いことの方が多いです。

但し丈夫な種と言われる水草は水質の適応範囲も広いので、弱アルカリ性でも問題無く育つこともあります。

その辺りは生体と一緒で種類によって異なりますから、逆に育成が難しいと言われる水草は、水質の適応範囲が狭いということになります。

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pHを決定させる要因

水槽内のpHは元々の水道水のpHの他に様々な要素でpHが変わってきます。

ここではpHを上げやすいものと下げやすいものをそれぞれ紹介します。

飼育水のpHを下げる要因

  • 低床にソイルを使用
  • 二酸化炭素を添加
  • 流木をレイアウトに使用
  • 硝酸が蓄積されている

まず一番影響が大きいのが低床のソイルです。

最近では頻繁に使われるソイルですが、基本的にどの商品も水質を弱酸性の軟水に傾けます

また水草水槽の場合、CO2を添加する場合も多いですがCO2添加中はpHが緩やかに下降します。

レイアウトに流木を使用している場合は、流木に含まれてる腐食酸が水中に溶けるため弱酸性に傾ける効果が多少あります。

最後に硝酸が蓄積されている場合ですが、これは具体的には、ろ過バクテリアが有害物質を分解する過程で発生する物質で、ほぼ無害ですが酸性を示すため、水質に若干の影響を与えます。

水換えをしなければ硝酸は蓄積されていくので、水槽は立ち上げから時間が経つにつれ酸性に徐々に傾いていくと考えておけば良いと思います。

なお一部重複しますが飼育水をpHを意図的に酸性に傾けたい場合は以下の記事で別にまとめています。

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飼育水のpHを上げる主な要因

  • 砂利系の低床を使用している
  • レイアウトに石を多用している
  • 水草用のカリウム肥料を使用している

砂利系の低床は基本的に中性~弱アルカリ性の水質になります。

特に新品だとその傾向が強く時間が経つにつれ、徐々に中性に近づいていくことが多いです。

またレイアウトに石を用いていると石からカルシウムやマグネシウムが溶け出し、それらがpHを上昇させる一因になります。

最後に水草水槽をやっているとカリウムの肥料を添加する機会が多いですが、カリウムは強い酸性を示すので添加するとpHは上昇します。

どの程度上昇するかは水量や添加量にもよりますが、特に液肥の場合毎日添加することが場合が多いので、過剰に添加している場合は思いのほかpHに影響を与えていることがあります。

なお一部重複しますが飼育水をpHを意図的にアルカリ性に傾けたい場合は以下の記事で別にまとめています。

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pHを測定する方法

pHを測定する方法はコスト別に何種類かありますので紹介します。

試験紙タイプ


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試験紙を水槽に浸すだけでチェック出来る簡易的なものです。

手軽なのが魅力ですが精度が欠けるので、オススメしません。

試験液タイプ


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水を専用容器に入れて付属の試薬を数滴加え水の色の変化を見ます。

価格は1000円位で50回測定出来ます。測れる単位は0.5刻みですが色は分かりやすいと思います。

デジタルと併用して測ったこともありますが正確性も問題無かったです。

ある程度のpHを安価で把握したい人には、この試験液タイプをオススメします。

デジタルタイプ

水槽に電極部分を浸して測定するタイプです。

0.1刻みでpHを簡単に測定することが出来ます。

電極に寿命があり、マーフィード エコ・ペーハーduoだと約365回が寿命となります。

約8000円程度と少し高いですが、頻繁に計測していきたい方にはオススメです。

まとめ pHは水槽の最重要指標の一つ

ここまで書いた通りpHは水槽の水質の最も基本的な指標です。

生体や水草の状態が悪い場合、もしかしたらpHに原因があるかもしれません。

また前述したように生体を水槽に新しく入れる時や水換え時にはpHの急変に注意する必要があるので、初心者の方でもpHを測定するものは何かしら持っていた方が安心した飼育に繋がると思います。

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