今回はアクアリウムを始めたての初心者でも枯らしにくい丈夫で強い水草たちを紹介します。
水草の育成は、高価な設備が必須で難しい、というイメージを持っている人もいるかもしれませんが、丈夫な水草を選べば初心者でも綺麗に育成ができますよ。
初心者向けな水草の条件とは?
枯れない
一番大事なのは言うまでも無く枯れないことですね。
これについては本当に水草の種類で差が出てきます。
どんなに悪条件でも枯れない水草はありますし、その逆もしかりです。
ただ個々の環境や水質によっても大きく変わる部分でもあるので、一概には言えない面もあります。
高光量を必要としない
水草には光の要求量の違いがあり、特に成長の早いロタラ系などの有茎草は強い光を必要とします。
逆に成長の遅いアヌビアスなどの陰性と呼ばれる水草は、そこまで光の強さが無くても成長できるのです。

CO2の添加を必要としない
水草はCO2を添加すれば成長スピードが上がり色も鮮やかになりますが、CO2無しでも育成出来る水草は沢山あります。
CO2添加時と比べると、成長スピードやボリューム感は劣りますが、十分その水草の美しさを堪能できます。
幅広い水質に適応する
水草は基本的に弱酸性のpHを好む種類が多いですが、酸性からアルカル性まで幅広い水質に適応出来る丈夫な水草も存在します。
そういった水草は水質の適応も早いので、水槽に入れて適応できずに溶けてしまう、というようなことも少ないです。
幅広い水温に適応する
多くの水草は22℃~26℃程度の水温を好みますが、この範囲を外れても育成出来る種はあります。
トリミングに強い
トリミングとは伸びすぎた水草をハサミでカットすることですが、トリミングを繰り返すとダメージで弱ってしまう水草もあります。
今回、紹介する水草はトリミングしても影響を受けにくい強い種がほとんどです。
背が低い初心者向きの水草
ニューラージパールグラス
前景草(水槽の一番手前に配置する水草)の中では一番育てやすい水草だと思います。
背の低い前景草は高光量・CO2添加を必須とする種類がほとんどですが、このニューラージパールグラスはCO2を添加しなくても、ある程度は育成が可能です。
前景草を密に育てるのは中々難しいですが、ニューラージパールグラスは正に初心者向きな前景草と言えます。

エキノドルス・テネルス
前景草の入門種としても、よく紹介されるエキノドルス・テネルスは雑然とした雰囲気を持つ定番の水草です。
上の画像のように密生させるには少なくとも強い光とソイルの使用が条件です。
ただし、ピンポイントで使用する場合はCO2無しでも育成自体は出来ますし、枯れることは少ない水草です。
オーストラリアン・ノチドメ
別名オーストラリアン・クローバーとも呼ばれ、小さく可愛らしい切れ込みが入った葉が人気の水草です。
条件が良いと成長が早すぎるため間引く必要があるくらい爆発的に増える水草です。
好条件でなくてもある程度の光量と肥料があれば問題無く育ちます。
前景~中景の範囲で使え、この水草を入れておくだけで自然感がアップするのでオススメの水草です。
▼CO2添加無しで実際に育成してた時の画像
ピグミーチェーンサジタリア
初心者向けと良く紹介される水草で、置いてあるショップも多いと思います。
特に砂利系の低床を使いアルカリに傾いた水槽でも育成可能で、条件は悪くても枯れずにいつの間にか増えている、そんな水草です。
また長く伸ばされた根から養分を吸収するので低床肥料が有効になります。
ただし、上の写真のような、こんもりとした茂みを出すのはCO2を添加するなど、育成条件を整えないと難しいです。
背が中程度の初心者向きな水草
パールグラス
パールグラスは明るい緑の有茎草でレイアウトに使用される機会も非常に多い人気の水草です。
基本的にはCO2添加必須と紹介されることの多い水草ですが、筆者はCO2無しで育成したことが何度もある水草なので今回のリストに加えました。
繊細かつボリュームがある緑の茂みを作ることが出来る貴重な水草で、非常にオススメです。

アマゾンチドメグサ
先に紹介したオーストラリアン・ノチドメに近い種で、こちらも可愛い丸い葉をつける初心者向きな水草です。
この水草は水中内の養分を良く吸収してくれ成長スピードも比較的早いです。
好条件だと葉が巨大化し縦横無尽に増えるので、むしろ、設備がそこまで整ってない水槽に入れておくと丁度いいかもしれません。
ヘテランテラ
CO2添加無しで養分がそこまで豊富でなくても育成可能な、美しい緑色の茂みを作る水草です。
光の強さによって育ち方が違い、光が強ければ低床を這うように成長し、中景を埋めるような役割を果たしてくれる水草です。
この水草は本数が少ないと水槽の中で浮いた印象を受けかねないので、ある程度まとまった本数を植えることをオススメします。
背が高い初心者向きな水草
スクリューバリスネリア
名前の通りねじれながら上に向かう深緑の水草です。
とにかく強い水草でどんな水槽でも育てやすく安価でもあるので、正に初心者向きな水草です。
主張がやや強いので水槽にマッチするかどうかの問題はありますが、とにかく水草を枯らしたくない人にはオススメします。
▼近い種でバリスネリア・ナナという葉が極細なタイプもあり、こちらも育成は容易で水草レイアウトで見る機会も多いです。
ハイグロフィラ・ポリスペルマ
ハイグロフィラ系は丈夫で育てやすい種が多く良くビギナー向きの水草と紹介されますが、特にポリスペルマはその代表とも言える水草です。
トリミングにも非常に強く、差し戻ししながら増やしていくことも容易に可能です。
ただし、ハイグロフィラ系、全般に言えることですが、やや大型化するので小型水槽では若干扱いにくい傾向があります。
ウォータースプライト
ライトグリーンの細かい葉を色々な方向に伸ばす育成が簡単な水草です。水面を覆うように成長する為メダカやグッピーなどの卵を産みつけるうってつけの場所になります。
四方八方に新芽を伸ばす為、整然としたレイアウトには若干使いにくいですが、とりあえず緑が欲しいときに一株入れておくような使い方がいいかと思います。
ちなみに~スプライトと名前が付く水草は数種類あり中でもラオススプライトは葉が繊細なので綺麗な水草です。
ウォーターウィステリア
ウォーターウィステリアは複雑に切れ込みが入るハイグロ系の有茎草です。日本でもかなり昔から親しまれている水草で育成も容易です。
ウォーターウィステリアは基本的には一枚の葉も大きく存在感があるため繊細なレイアウトには少し使い辛いです。
とは言え初めて水草を育成する人にはオススメできる強靭な種なので、十分、水槽の主役として使えます。
アマゾンソード
非常にポピュラーな水草入門種の代表的な水草です。
サイズが大きく存在感も抜群なので60cm以上の水槽に植えることをオススメします。
育成自体は容易ですが放置していると水槽を占拠してしまうので、時々外側の古い葉を間引いてコントロールします。
ロタラ・ロトンディフォリア
ロタラ系は草姿が美しい人気の有茎草で高光量とCO2添加が基本ですが、ロトンディフォリアはロタラ系の中でも一番育てやすい水草だと思うので紹介します。
ロトンディフォリアは赤系の水草で好条件ほど赤を引き出せますが、そうでない場合も育成自体は可能です。
その場合は段々と赤色が抜けていって黄緑色で落ち着きますが、それはそれで中々綺麗だと思います。
マヤカ
マヤカは定番の精細なイメージを与える優しい緑の有茎草です。特にソイル使用時はCO2を添加しなくてもスクスクと縦に伸びていきます。
草は柔らかく食害にもあいやすい傾向がありますが反面、トリミングには強く伸びてきたら差し戻しをすればボリュームを出すことが出来ます。
初心者向きな陰性系水草
陰性水草とは、他の水草の陰になるような場所でも育成出来る、丈夫な水草の総称です。
総じて初心者向きの水草が多いので、陰性系水草をメインに使って深緑一色に水槽を染めると統一感が出ていいかもしれません。
また陰性系水草は低床には埋めずに流木に巻きつけたり、石の隙間に挟みこんだりして配置します。
陰性系水草の特徴として成長が遅いので、トリミングの手間が圧倒的に少なく手間がかかりにくいメリットがあります。
そんな陰性系水草の代表種を紹介します。
ウィローモス
流木や石に着生(活着)する性質を持つコケ系の水草です(※水槽の汚れとして出るコケは藻類に分類されるのでコケ系水草とは異なります)。
正に侘び寂びを表現してくれる水草で、初心者だけでなく上級者のレイアウト水槽にも多用される人気の水草です。
モス系は他に南米ウィローモスやウィーピングモスなどの別種があり、とても綺麗ですが育成に関してはウィローモスが一番簡単で初心者向けです。
アヌビアスナナ・プチ
アヌビアスナナも初心者向けとして非常にポピュラーでどこのショップにもあるような水草で、ナナプチはその半分サイズ以下の小型アヌビアスです。
個人的にはナナプチの方がコケが付きにくく溶けない経験があるのとレイアウトの使い易さの観点から、ノーマルのアヌビアスナナよりナナプチの方をオススメします。
ミクロソリウム・トライデント
ミクロソリウムはシダと呼ばれる茎から複数の羽状の葉を伸ばすように生長する水草です。
ミクロソリウム系は丈夫で初心者用と良く紹介されますが、葉の枚数が増えず意外とみすぼらしい姿になってしまうことも少なくありません。
今回紹介するトラインデントはミクロソリウム系の中でも葉のボリュームがつきやすく、とにかく見栄えがいいのでミクロソリウム系の中でも特にオススメの品種です。
とにかく枯れない、むしろ増えすぎて困るほど強い水草
これまでも丈夫で育てやすい水草を紹介してきましたが、中でも特に環境を選ばずに増え続ける水草を紹介します。
と言っても稀に溶けたりするので過信は禁物ですが、他の水草に比べると劣悪な環境に対する適応力が格段に違うので、大体は増えまくって捨てるハメになると思います。
マツモ
金魚藻として金魚水槽に良く入れられる水草で、見たことある人も多いかも知れませんね。
マツモはレイアウト水槽では余り使われないですが、水中の余分な養分を吸い取り水質を浄化してくれる水草としては定番です。
なので立ち上げ初期の不安定な時期にはマツモの力を借りている人も多いです。
茎を砂に埋めてもいいのですが水中に浮かべておけば、すぐに全面を覆いつくす位、増えるので頭付近を残しカットし適宜、廃棄します。
アナカリス
こちらも金魚やメダカの水槽に良く入れられる水草で、その最大の特徴としては冬場の低水温に耐えれる強さを持つため屋外で飼育することも可能です。
マツモ同様、繁殖力旺盛で増えすぎたら適宜間引いてあげます。
【まとめ】丈夫と言われる水草も枯れることはある。その逆も
今回は丈夫な水草の代表種を紹介しましたが勿論枯れてしまう場合もあります。
筆者は、今回紹介した水草ほとんどを育てた経験がありますが、すぐに溶けてしまったり長期維持が出来なかった経験は結構あります。
要因は、そもそも購入時の状態が悪かった場合や水槽の水質に合わなかったことが考えられますが、水草を育てているとこういうことは頻繁に起こります。
逆に好環境が望ましいとされている水草をボトルアクアリウムでいっぱい増やしたこともあり、一般的に言われていることが当てはまらないこともありました。
なので育てたい水草があったら、とりあえず育ててみるというようなスタイルでトライすることも経験値が増えて有意義なことだと思います。