水流とは、フィルターの排水による水槽内に起る水の流れのことです。
フィルターを付けていれば必ず水流は発生するものですが、今回は水流について深堀りします。
また、強い水流に悩まされている人も多いので、水流の弱め方についても解説しています。
水流の主な働き
水流の役割は水槽内の水を循環させますが、具体的には以下の働きをしています。
- 酸素を水槽内に巡らせる
- CO2を水槽内に巡らせる
- ヒーターやクーラー稼働時、水槽内の温度を一定にさせる
- 止水域を予防する
要は水槽内に酸素やCO2などを循環させることによって、ろ過バクテリアや水草の生長を促すことに大きく貢献しています。
4の止水域とは水の流れがほぼ無い場所という意味ですが、止水域では酸素が不足する傾向があり、またフンや餌の食べ残しが溜まりやすくなります。
つまり水槽内の水がうまく循環していれば、水が汚れにくくなり水草も育ちやすいと考えていいでしょう。
また、酸素が十分に行き渡っていない場所を嫌気域と呼んだりします。
嫌気域ではラン藻や硫化水素など、水草や生体に有害な物質が発生しやくなります。
水が動いていない低床に藍藻が発生しやすいのは、藍藻が嫌気性バクテリアだからです。藍藻が出た場所に水流を当てると藍藻が消えることがありますが、藍藻と水の淀みは深い関係があります。
強すぎる水流のデメリット
特に新規で外部フィルターをセットした時に発生するのが「水の流れが強すぎる」という問題です。
水流が強すぎると以下のようなデメリットがあります。
- 魚が流されて体力が奪われる
- 水草が流されて斜めになってしまう
- 水流が強く当る場所に黒ヒゲ、緑藻などの藻類(コケ)が発生する
水流は強すぎても駄目なんですね。
特に、グッピー、メダカ、ベタなど、ヒラヒラした大きめの尾びれを持つ魚は大抵、強い水流が苦手です。
上記のような種は、水たまりのような、ほぼ水の動きが無いような場所に生息していますからね。
水流を弱める方法
フィルターは時間に経過につれろ材に汚れが蓄積することから段々と水流は弱くなりますが、すぐにでも確実に水流を弱くする方法をいくつか紹介します。
シャワーパイプを工夫する
排水口にシャワーパイプを使用している場合は
- シャワーパイプの穴を広げる
- シャワーパイプの穴の数を増やす
- シャワーパイプの向きを水槽のガラス面に向ける
このような加工や角度を変えることによって水流の調整が可能です。
水流を弱めるアタッチメントを付ける
エーハイムのナチュラルフローパイプは、水流を相当緩やかにすることが出来ますので効果抜群です。
透明な部分は角度調整も可能で更に、緑の部分だけでも使えるのですが、この緑の部分だけ付けても大分水流が弱まります。
60cm水槽にエーハイムの外部フィルター2213を使用し、ナチュラルフローパイプの根元の部分だけで使用したところ、水流は丁度良い感じになりました。
ナチュラルフローパイプのデメリットは存在感が強いことですかね。
透明な部分は大きいし根元の部分は緑なので、水槽内で結構目立ちます。
こちらはGEXのメガパワーというフィルターの専用パーツですが、商品名が拡散吐出口となっていて水流を弱めるのに使えます。
透明でいい水流もいい感じに拡散されるのですが、接続口の内径12mmと独自の企画なので、手持ちの出水口パイプと合うかどうか要確認です。
この商品、接続口の内径が12mmとなっていますが、手元にあるものを測ったところ内径13mm弱でした。
なので外径12mmのエーハイムのパイプにギリギリですが入りました。
また上の画像ではわかりにくいかもしれませんが、このパイプは下にも小さい穴が開いているので下にも弱めの水流が起ります。
そこにCO2拡散機を設置しているといい感じにCO2が水槽全体に行き渡るので、これはこれで良かったです。
穏やかな水流を作る出水パイプにする
代表的なのはADAのリリィパイプやリリィパイプ・スピン、メタルジェットパイプです。
これらの商品は高価ですがデザインも良く適切な水流を作ることが出来る商品として定評があります。
水流を弱くする順はメタルジェットパイプ>リリィパイプ・スピン>リリィパイプとなっています。詳細は下記ADAのページにてご確認下さい。
水流を弱めるのにオススメしない方法
ダブルタップを絞る
外部フィルターのダブルタップを絞る(閉める)ことによって水流を調整する方法は、モーターに負担をかけ異音や故障の原因となるので、基本やめておいた方がいいです。
フィルター内にろ材を沢山詰める
この方法も水流は弱まるのですが、ろ材コンテナの中のろ材の量は適度に余裕を持たせないと通水性が悪くなり本来のろ過能力が発揮されない場合があるのでやめましょう。
適切な水流とは
そもそも適切な水流ってなんだよって話ですが、簡単に言うと水槽内の水が満遍なく動いていれば、それでいいのです。
ただ、判断が難しいですよね。
そこで適切な水流かどうか判断するポイントをいくつか紹介したいと思います。
- 水草の向きが極端に流れてないか(ユラユラしてる位が丁度良い)
- 水流に流されている生体はいないか
- 水温を水槽内の色々な場所で測り偏りはないかチェックする
- CO2を添加している場合、泡の流れを見てみる
- 水槽の一部だけコケが酷く出ていないか
上記は絶対的な指標では無いですが、水流の強さを測るある程度の目安になる筈です。
基本的には強すぎて困る人の方が多いとは思いますが、前述した通り弱すぎる場合もデメリットはありますので、強すぎず弱すぎず適度な水流が理想です。
まとめ:状況に応じて水流を調整しよう
筆者も新品のフィルターを稼働させた際に、強すぎる水流に水草がなびいてしまい困ったことがあります。
最初は弱ければ弱い方がいいと思ったこともあるのですが(今でもそういう考えの方もいますが)やはり弱すぎてもデメリットがあるのがわかりました。
という訳で適切な水流を求めてアタッチメントを買い、いつでも調整できるようにしています。
例えば立ち上げ当初のフィルターのろ材が新しい時はエーハイムのナチュラルフローパイプを使用し時間が経過したら外す等、時期によって水流が丁度良くなるように調整を行っています。
このように一手間かかりますが、少しの工夫によって水流の強弱は簡単に調整出来ますので、水槽内の様子を見ながら調整するのが良いのかなと思います。