水槽の底に敷く砂の種類・選び方

アクアリウム用語で水槽の底に敷く砂のことを低床(ていしょう)と呼ばます。

底砂(そこずな)と表現する場合もあるのですが、この記事では低床で統一したいと思います。

今回はアクア用の低床の種類や選び方、どのような飼育スタイルに向いているか解説したいと思います。

目次

低床の働き

水槽の底に砂を敷くことによって得られる主な効果は以下のようになります。

  • 水草の育成→根を張る水草には必ず必要になります
  • ろ過バクテリアの住みかになる→水質の向上・安定が望めます
  • 熱帯魚やエビの色揚げ→砂の色によって魚達の体色が変化します
  • 自然感が増える→砂が無いと無機質で殺風景な感じに

以上のような様々なメリットがあるので、環境によって低床の厚さを調節する必要はありますが基本的にはどんな水槽にも低床は敷くものと思って下さい。

例外として大型魚など大量の排泄物が出る生態を飼育する場合は、水槽の底を掃除しやすいベアタンクと呼ばれる、砂を全く敷かないスタイルにする場合もあります。

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低床の種類

市販されている低床は本当に種類が豊富なので結構迷ってしまう人も多いと思います。ここでは細かく種類を分けず大まかに分類し、それぞれの特徴を説明したいと思います。

  • ソイル
  • 砂利系
  • その他(セラミック、ゼオライト、麦飯石、溶岩石、サンゴ砂など)

ソイルについて


ソイルは天然土を焼き固めたものです。形状はまばらですが粒状になっています。

水草水槽ではほとんどの場合ソイルが選択されますがソイルを使う場合の主なメリット・デメリットを確認していきましょう。

ソイルのメリット

  • 水草に必要な主な栄養素を保持している
  • 水質を多くの水草や熱帯魚に適した弱酸性に傾ける
  • 粒の形状が通水性を保ち、ろ過バクテリアが定着しやすい
  • 流木の色素、リン酸などの有害物質を吸着するタイプもある
  • 洗わずにそのまま使える

ソイルのデメリット

  • 低床の掃除が難しい
  • 粒が潰れていくため1年~2年で水槽自体をリセットする必要がある
  • 養分や酸性に傾ける力は徐々に低下する(数ヶ月~1年程度)
  • 水中に養分が溶け込む為、苔が発生しやすい

ソイルの種類

一言でソイルと言っても商品によって特性は様々です。どうのような違いあるのかまとめました。

  • 保持している栄養分の違い
  • pH調整能力
  • 吸着能力
  • 粒の大きさ

ソイルは大きく分けると「栄養系ソイル」か「吸着系ソイル」のどちらかのタイプに分類されます。栄養系ソイルは養分が豊富なことから水草の育成に向いているので水草水槽に最適です。

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一方、吸着系ソイルは立ち上げ初期の濁りやアンモニアの溶出が少ないので熱帯魚飼育初心者に向いています。

また両方のバランスがとれたソイルもあるので、その辺りは事前に評判などをチェックしておくといいと思います。

ソイルの代表的な商品は以下の記事で紹介しています。

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ソイルが向いている水槽

何と言ってもソイルは水草水槽に最適です。他の低床でも育成は可能ですがソイルは水草の育成を格段に簡単にします。

要は他の低床で水草水槽をやるのは少し上級者向けということですね。また水草以外でもソイルは熱帯魚飼育に最適な環境を作ってくれるので魚メインで管理したい人にも勿論おすすめ出来る低床です。

ソイルの寿命

ソイルの寿命についてですが、例えば一年に一回とか明確な期間というものは存在しません。

ただ概ね1~2年程度で粒が潰れ始めるので一応、交換の目安になりますが、水槽に問題が無ければ無理して交換する必要はありません。

養分は半年程度で抜けますが追肥するという手段もあります。

砂利系


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大磯砂を代表とする砂利系の低床は、ソイル普及以前はアクアリウムで最も一般的な低床でした。

海岸で採取される天然の岩石の為、導入初期はアルカル性に傾いてしまう場合も多いですが、長期間使用した砂利は安定度抜群で現在でも愛用するショップ、個人の方は多いです。

砂利系のメリット

  • 天然採取の為、自然な雰囲気がありどんな水槽でもマッチする
  • 頑丈な為、半永久的に使用可能
  • 比較的安価である
  • 低床の掃除がプロホース等で可能

砂利系のデメリット

  • 新品だと導入初期はpHや硬度が高めになる傾向がある
  • 水草に必要な養分が含まれていない

砂利系が向いている水槽

砂利系低床は一言で砂利と言っても色々な種類がありますので、大きさ、色や形など自分に合ったものが選べるので、ある意味万人向けだと言えます。

また粒の形状が丸みを帯びたものが多いので低層を泳ぐ魚にも安全です。

砂利の最大の欠点として貝殻やサンゴの砕けたものが混入し、水質をアルカリ性に傾けてしまうのですが、それらは徐々に溶けていき最終的に中性付近に収束します。

また水槽に入れる前に酸処理といって、食酢などを用いて混入した貝殻やサンゴを溶かしてしまうという方法もあります。
※酸処理は場合によっては危険が伴いますので良く調べてから行うようにお願いします。

また商品によってはそこまで水質に影響しないものもあるので、そういった砂利を選ぶのもいいと思います。

砂系

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砂系低床の特徴

砂利よりも、もっと細かいものが砂系の低床に分類されます。

海岸や川底の砂をイメージしてもらうと、わかりやすいかもしれませんが、見た目が非常に綺麗で水槽の底に薄く敷いただけで、自然に近い雰囲気が出ます。

目が細かいので水草が植えやすく根張りもいいですが、養分を含まないことと通水性が悪いので本格的な水草水槽には、あまり向きません。

砂系低床が向いている水槽

目が細かく角がないことからコリドラスなど、底物(そこもの)と呼ばれる水槽の低層を泳ぐ魚の育成に最適です。

また水槽の前の方のみに薄く敷き自然感をアップさせる化粧砂と呼ばれる使い方が上級者の中で良く使われているテクニックです。

その他の低床

上記に挙げた代表的な低床以外にも以下のような色々な種類の低床があります。それらの特徴を簡潔に説明したいと思います。

  • セラミック系
  • ゼオライト系
  • 麦飯石
  • 溶岩石
  • サンゴ砂

ゼオライト系低床の特徴


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ゼオライトはアンモニアの吸着、軟水化、飼育水の嫌なニオイを抑える効果があると言われており、フィルターのろ材としても使用される材料です。水を綺麗にしてくれ苔を抑えやすい低床なので初心者向きです。

対して水草に必要な養分まで吸着してしまう可能性があるので余り水草水槽では使用されません。

麦飯石の特徴


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麦飯石(ばくはんせき)は天然鉱物でそれを細かく砕いたものを低床に利用します。麦飯石の特徴は多孔質な表面で、ろ過バクテリアの定着がし易い構造になっています。

また吸着、脱色の効果もあり、フィルター用のろ材に使用される場合もあります。

ただし、その効果は汚れが溜まっていくことで段々と低下していき、半年~1年程度で交換が推奨されています。

溶岩石の特徴

天然の溶岩石を細かく砕いてアクアリウムの低床として利用します。こちらも多孔質な素材でバクテリアの繁殖を促進し、洗えば半永久的に繰り返し使用出来ます。

注意点として角が尖っているものも混じるためコリドラス等の低層を泳ぐ魚の飼育には向いていません

養分は含みませんが追肥をすれば水草の飼育も可能です。

サンゴ砂

サンゴ砂は主にサンゴの残骸が細かく砕けた砂です。カルシウムが多く含まれているので水質をアルカリ性に傾けます。

基本的に淡水水槽では弱酸性が良いとされているので海水水槽で使用される低床になります。

逆に淡水水槽でも少しpHと硬度を上げたい場合には少量混ぜて使うこともあります。

低床の選び方

低床を選ぶ基準は主に以下の刻目となります。

  • 色や形状などの見た目
  • 水質に与える影響
  • 養分を保持するか
  • 長期利用が出来るか

では実際にどのような水槽がどの低床に向いているか考察したいと思います。

水草水槽やるならソイル

水草の育成にはソイル一択と言ってもいい位、水草向きの低床です。余程の理由が無い限り、水草やりたい方はソイルを選んだ方が無難です。

例外としてアルカリ性向きの水草や生体を育成したいのであれば他の低床の方がいい場合もあります。

生体だけを飼いたい

生体メインの水槽であれば生体に合わせて低床を選ぶことがオススメです。

多くの場合は弱酸性を好むため、ソイルが的していますが、例えば 例えばグッピーやメダカは弱アルカリ性を好むので砂利の方がベターです。

またコリドラスなど低層を泳ぐ魚は底にあるものを口に含んだりしますので細かい砂の方が向いています。

まとめ

今回はアクア用の低床の種類について大まかに解説しました。

種類が多くて迷ってしまうと思いますが、まず大まかにソイルかそれ以外かで考え、そこから各商品の特徴や評判を調べて自分に合った低床を選んでみて下さい。

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