陰性水草は陰という字の通り、強い光をそこまで必要としないことや、その他の条件も育てやすい種が多いです。
対して陽性水草は、強い光や豊富な栄養、二酸化炭素を必要とし、初心者には若干、育成のハードルが高いとも言えます。
初心者の方は水槽に水草を入れたくても、何から育てた方が良いか、わからないと思います。
そのような人向けに、今回は育成が簡単な陰性メインの水草の紹介と、特徴などを解説します。
陰性水草と陽性水草の違いとは?
まず陰性水草と陽性水草の違いを簡単に説明します。
実はこの二つは何となく分けて呼ばれているものなので、厳密に定義されて分けられてる訳ではありません。
なのでアバウトにイメージして貰えればOKです。
陰性水草とは
陰性水草は先でも触れたように極端に言えば、光の届きにくい陰になっている場所でも育つ水草全般のことを指します。
実際に陰性水草はライトの光が当たりにくい場所でも育成が可能なので、流木や後景水草の根元など陰になっている場所に植栽されることが多いです。
また育成難易度も低いため、初心者向けとも良く言われます。
陽性水草とは
陽性水草は基本的に光、養分、CO2の要求量が多い水草のことで生長も早く色も鮮やかな種類が多いです。
代表種としては上の画像のロタラやパールグラス等の有茎草が挙げられます。
また陽性水草は一般的に設備や予備知識が無いと、綺麗に育成させるのは難しい側面があります。
陰性水草の代表的なオススメ種
陰性水草には色々な種類がありますが、その中でも特に綺麗で育てやすい人気の陰性水草を紹介します。
アヌビアスナナ プチ
アヌビアスナナは初心者向けとして定番種で、どこのショップにもあるような水草ですが、ナナプチはその半分サイズ以下の小型アヌビアスです。
個人的にはノーマルのアヌビアスよりナナプチの方が、葉が密集し、美しいレイアウトを作るのが可能なのでオススメです。
特に小型水槽ではナナプチの使い所は非常に多いので、活躍する機会が多い水草です。
ウィローモス
流木や石に着生(活着)する性質を持つコケ系の水草です。
※水槽の汚れとして出るコケは藻類に分類されるのでコケ系水草とは違うものです
正に侘び寂びを表現してくれる水草で、初心者だけでなく上級者のレイアウト水槽にも多用される人気の水草です。
モス系は他に、南米ウィローモスやウィーピングモスなどの別種があり、とても綺麗ですが、それらはCO2を添加しないと綺麗に育成出来ない場合があるのでウィローモスが一番簡単で初心者向けです。
ミクロソリウム セミナロー
ミクロソリウムはシダ系と呼ばれる陰性水草の代表種です。
ミクロソリウムの中でも沢山の種がありますが、セミナローは見た目の良さ・入手性・値段などのバランスが良いと思います。
もちろん育成も容易な部類に入りますが、シダ系の水草は高水温になるとシダ病という、葉が黒ずんでいく病気にかかりやすいです。
なので夏場は、このシダ病には注意して黒ずんでる葉は早めにカットしないといけないです。そこだけ注意が必要ですね。
ボルビティス ヒュディロティ
ボルビティスは陰性水草の中でも1、2を争う人気の水草で、深い切れ込みと透明感のある特徴的な葉を展開します。
陰性水草の中では特に水槽の主役になりやすく、水草レイアウト水槽でも使用頻度が高いです。
CO2を添加すると大型化し、生長も陰性水草の中では速いですが、CO2無しでも育成は出来ますよ。
また、葉を全て落として茎だけの状態になっても、新芽が出てくる位なので基本的には丈夫な水草という認識でいいと思います。
クリプトコリネ・ウェンティー・グリーン
クリプトコリネは水草や流木の根元に良く配置される水草で、陰性水草に分類されますがソイルなどの低床に埋めて育成します。
育成は簡単ですが新水槽に入れた直後、葉が一旦全て溶ける場合があります。それから新芽を展開しますので、枯れたと勘違いしないようにしばらく様子を見ておきましょう。
また光の当りかたによって葉の色が変化するのも特徴で、特にウェンティー グリーンは光が当たりすぎると茶色っぽくなる傾向があります。
このように環境によって様々な表情を見せてくれるのも、この水草の面白いところです。
陰性水草水槽のメリット
改めて陰性水草のメリットや特徴を紹介します。
前提として、丈夫な種が多いことで知られていますが、その他にも色々な特徴があります。
強い光を必要としない
繰り返しになりますが陰性水草の多くは強い光が無くても生長します。
逆に過剰な光をあてると溶ける・葉焼け・コケが付くなどのデメリットの方が目立ちますので、弱い光でも十分と言えます。
とは言っても全く光が当たらないと枯れてしまいますので、ある程度の光量は必要になります。
養分の要求量が低い
陽性水草は養分要求が高い種類が多いので、肥料を含んだソイルでないと育成が難しくなります。
しかし陰性水草の場合は要求量が低いので、意図的にこちらが肥料を追加しなくても生長できます。
ソイルを使用すると水槽内が富栄養状態になりコケに悩まされることが多いですが、陰性水草は養分を含まない砂利系の低床でも育成が可能ですので、これは大きなメリットだと思います。
水質の対応範囲が広い
ミクロソリウム系、アヌビアス系、ビルビティス系など代表的な陰性水草は水質の対応範囲が広めです。
これは水草育成で最も重要な点と言っても良い程、大事なことです。
多くの水草は弱酸性の軟水を好み、この範囲から外れると調子を崩します。
ですが陰性水草の大半は、多少、上記の範囲から外れても大丈夫な場合がほとんどな為、水質に気を遣う必要が大幅に減ります。
CO2の要求量が低い
陽性水草はCO2を添加しなくても、ほとんどの種が育成できます。
CO2は添加装置が高価で導入も少し知識がいりますので、初心者にはハードルが少し高いですよね。
ただし陰性水草もCO2を添加した方が早く綺麗に育ちます。これは陰性、陽性関係無く全ての水草に言えることです。
トリミングが簡単
トリミングとは生長した水草や傷んだ部分をハサミでカットする作業のことですが、陽性水草の場合は生長速度が遅いのでトリミングの頻度も低いです。
またトリミングする時は基本的に葉の根元からバッサリ切るだけでいい種が多いので、トリミング作業自体も簡単です。
流木や石に活着する性質を持つ
陰性水草の多くは流木や石に根づいて生長する性質を持ちます。
低床に直接埋めるより、このように流木等に巻きつける方がうまく生長する種が多いことも特徴です。
濃い緑色の種が多い
上の画像は陰性水草のみで作られたレイアウトですが、全体的に濃い緑色をしているのがわかると思います。
このように陰性水草は深い緑色をした水草が多く、全体的に落ち着いた雰囲気のレイアウト水槽になります。
陽性水草は明るい緑色や赤、黄色といった水草が多いので、この辺は好みですが陰性水草には陰性水草の魅力があると思います。
陰性水草が初心者向きな理由
上記の特徴をまとめますと陰性水草は育成難易度が低く、高価な設備が無くても育成が可能であることがわかると思います。
また強い光と養分が必要無いことは、それだけコケの発生のリスクも低くなり、初心者が直面しやすいコケに悩まされる確率も低いことは大きなメリットです。
陰性水草水槽のデメリット
初心者向けの陰性水草ですが、デメリットもありますので紹介します。
- 生長スピードが遅く、コケが付きやすい
- 水草の水質浄化能力が余り高くない
- レイアウトがやや難しい
- 基本的に何かに活着させる必要がある
1.生長スピードが遅い
陰性水草は基本的に、生長スピードがゆっくりなので、水槽内に変化が出るまで時間がかかります。
それこそ年単位で、育成を待つ必要があるので、レイアウトの完成までは長い道のりです。
また、生長が遅いということは、それだけコケが付きやすい側面もあります。
2.水草の水質浄化能力が高くない
水草は水槽の第二のフィルターを呼ばれる位、水質に大きな影響を与えます。
生長が遅いことは、水中の過剰な養分等を吸収する能力が低いとも言い換えられるので、水質浄化能力については余り期待できません。
3.レイアウトが難しい
陰性水草がメインの水槽だと、それ以外の水草を入れた場合に色合い的に浮いてしまう場合があります。
陰性水草は濃い緑色で個性が強めなので、陰性水草同士で揃えないと、ややバラついた印象を与えます。
4.活着させる必要がある
陰性水草は基本的に、石や流木などのレイアウト素材に活着させる必要があります。
レイアウト素材を用意する必要もありますし、活着させるのは意外と面倒で難しくもあります。
陰性水草メインの水槽を作ってみよう
綺麗に水草を育てるのは難しいものですが、 陰性水草メインであれば初心者であっても比較的うまくいきやすいです。
水草水槽を綺麗に育成するには、それなりの設備や経験が必要となり、初心者の方には少しハードルが高いので、 陰性水草を主役と捉え育成していくのもアリだと思います。
ということで水草を育ててみたいけど、なるべく失敗をしたくない場合は、陰性メインの水草水槽を検討してみては如何でしょうか。