アピストグラマは南米に広がるアマゾン川やネグロ川を中心に生息するシクリッド(カワスズメ)の仲間です。
アピストは体表の独特の模様や長く美しいヒレが一際目を引く人気の熱帯魚で、淡水魚の中でも特に際立った見た目をしています。
それ故、古くから愛好家も多く種類も豊富なことからコレクション性も高い魚です。今回はそんなアピストの基本を網羅し飼い方の基本や魅力を紹介したいと思います。
アピストの代表的な種類
アピストは種類が豊富で流通しているものだけでも40種程度います。その中でも、お店に良く取り扱いがある代表的なグループをピックアップしました。
アガシジィ
アピストの最もポピュラーで代表的種なので、お店で見かける機会も多いと思います。
尾の形がスペードのような美しいものになっているのが特徴です。全体的なフォルムはアピストの中では標準的な体型になっています。
カカトゥオイデス
カカトゥオイデスもポピュラーなアピストの種で、品種改良によりトリプルレッドなど派手なヒレの色彩を持つ種類が多く流通しています。
特徴的なのは、ちょっと厳つい顔と大きい口で体高も他のアピストに比べて厚みがある体型をしています。
ビタエニアータ
体型は細身でよく伸びる背ビレとライヤー状の尾ヒレが抜群の美しさを誇る人気種です。
ビタエニアータは産地ごとのバリエーションが豊富な為コレクション性も高い魚です。
トリファスキアータ
アピストの中でも、特に長く伸張する背ビレとメタリックブルーに輝くボディが美しい種です。
トリファスキアータはアピストの中では丈夫な方で入門種としても良く紹介される魚です。
エリザベサエ
アピストの最高峰とも呼べる種で、他のアピストの良い所をかき集めたような完成された美しさを誇る高級魚です。
pH5~6程度の新鮮な軟水を好むと言われており飼育難易度は若干高めです。
アピストの魅力
特徴的なヒレ
個人的にアピストの一番の魅力は他の淡水魚には見ない特徴的なヒレにあると思います。
様々なカラーバリエーションがあり、長く伸張するヒレは多くのアクアリストを魅了してきました。
ちなみにヒレが長いのはオスのみで、メスはオスに比べヒレも短く体色も地味なのが特徴です。
繁殖・子育ての様子が楽しめる
アピストはペアの相性が良ければ比較的、繁殖がし易い魚です。その為かアクアショップでもオスメス、ペアで販売されていることがほとんです。
アピストはマウスブルーダーとも呼ばれ、口の中に稚魚を入れて移動させる特徴的な子育てをします。
また稚魚や卵を守るように、ペアで周辺をパトロールするのも可愛らしいところかもしれません。
成長する過程を楽しめる
アピストは種類にもよりますが最初から派手なメタリックボディと長いヒレを持っている訳では無く、適切に飼っていく過程で本来の美しさを引き出すことが出来ます。
時間をかけながら、地味な色の体が段々と目を見張るものに変化していくことは、飼育者の喜びの一つであると思います。
アピストの飼育方法
水槽は30cm以上を推奨
ペアのみで飼うにしても最低30cm以上の水槽は用意したいです。アピストはシクリッドのため縄張り意識が強めで小さすぎる水槽だと喧嘩の原因になりかねないからです。
アピスト水槽に入れる水草・素材
水草や流木のようなレイアウト素材は卵の産みつけ場所になったり、縄張り争いを和らげる効果があるので量は少なめでも入れた方がより良い環境を作れます。
アピストに向いてる水質
アピストは種類にもよりますが基本的には低pH、低硬度の水を好みますから、そのように水質を調整します。
それからアピストは新しい水より、こなれた古い水を好む傾向がありますので、新規で水槽を立ち上げるよりも、既に立ち上げから時間が経過した水槽に入れる方が理想的です。
アピストの向いている低床
先述したようにアピストは低pH、低硬度を好みますので基本的にはソイルの使用をオススメします。
ソイルの種類によって狙ったpHに調節出来ることも可能ですから、購入前にパッケージに書いてあるpHを確認しておきましょう。
ソイルについては以下の記事で詳しく解説しています。
アピストの水換えについて
アピストの飼育では一般的な熱帯魚より水換えの量や頻度を少なめにします。
理由としては、アピストは活発な小型熱帯魚よりも水を汚しにくいことと水質の変化を好まないことが挙げられます。
また水換えによるpHの上昇を抑えることにも繋がりますので、アピストの飼育では水換えするデメリットの方が大きくなるということになります。
アピストが好む餌・やり方
アピストは甲殻類が好物なのと栄養面のことからもブラインシュリンプをあげるのがベストです。
しかしそこまで手間をかけれらない人は人口飼料でもOKです。餌の量は少な目を意識します。
これは水換えの話とも繋がりますが、なるべく水を汚さずに維持させたい為、飢餓にも強いアピストに対しては最低限の餌の量を意識します。
アピストの混泳について
アピストは単独飼育のイメージが強い魚ですが小型熱帯魚との混泳は可能です。
但し水質や餌の問題(アピストは餌をとるのが遅い)があるので、混泳させる場合はその辺りに注意して同居させましょう。
アピストの病気について
アピストがかかる代表的な病気としてエロモナス病がありますが、これは低床を可能な限り薄くすることで予防することが可能です。目安としては数ミリ程度に薄く敷いておくといいでしょう。
この場合水草は低床に埋めることが出来ませんが、流木に陰性水草を活着させてレイアウトするといいと思います。