群泳とは読んで字の如く、集団で群れて泳ぐことで、アクアリウムでは小型熱帯魚の郡泳が魅力の一つとして挙げられると思います。
宝石のような体色の熱帯魚が水槽内で群れて泳ぐ姿は非常に優雅で、意図的に群泳を促すために工夫をしている飼育者もいます。
基本的にはどの魚も環境に慣れると群れを崩しやすい傾向があるのですが、その中でも群泳をしやすい熱帯魚達をまとめましたので参考にして下さい。
群泳しやすい種はカラシンとラスボラ系
まず、群泳しやすい種をざっくりと紹介します。
小型カラシンとラスボラは、基本的に他種より群泳しやすい傾向があります。
カラシンとはネオンテトラに代表される~テトラと名前が付く種で、熱帯魚の中でも最も多い種が居ます。
ラスボラはコイ科に属する、主に東南アジアに生息する、こちらも一般的な種です。
今回はその中でも群泳しやすい種を紹介しています。
カージナルテトラ
ネオンテトラ、カージナルテトラ、グリーンネオンテトラは外見が似ていて、みな定番の熱帯魚達ですが、どの種が一番群れやすいと言うとカージナルテトラになると思います。
ADAが主催している世界水草レイアウトコンテストでもダントツで採用されている機会が多い種です。
カージナルテトラ>グリーンネオンテトラ>>>ネオンテトラ
と言ってもグリーンネオンと、そこまで差があるかというと微妙なところなので好きな方を選んで問題ないです。
ネオンテトラとダイアモンドヘッドネオンテトラはカージナルとグリーンネオンより個別に泳ぐ傾向があります。
ラミーノーズテトラ
鼻が赤く染まるカラシン(テトラ系)の仲間です。
カラシンの中では一番群れやすい部類だと思いますので何としても郡泳が見たい!という方にはオススメです。
飼育もしやすく、定番種なので、お店で取り扱いがある確率が高いです。外見が気に入れば是非。
レッドテトラ
ファイアーテトラとも言われ赤い体色を帯びた小型熱帯魚です。
赤というよりも朱色という表現の方が正確かもしれませんが、この魚も丈夫で綺麗な熱帯魚の代表的な種で初心者にもオススメです。
カラシンの仲間の中でも小型で最大でも2.5cm程度にしかなりません。
飼い込んでいくと色が段々と濃くなっていくので育成しがいのある熱帯魚ですが、その割に安価で販売されており水槽には多めに入れると見応えのある郡泳を見せてくれます。
ペンギンテトラ
ブラジル原産のカラシンの仲間で体の中心から尾びれにかけて黒いラインがペンギンを連想させるので、このような名前で売られています。
若干気性が荒めで最大で5cm程度まで成長するので混泳には少し注意が必要です。どちらかと言えば単独飼育の方が向いています。
この魚の泳ぎ方は体を斜めに傾けて、その場でピョンピョンとリズミカルに泳ぐので群れさせれば楽しい水景になること間違いなしです。
テトラオーロ
ブラジルの小型カラシンでハステータステトラと呼ばれることもあります。一見地味に見えるかもしれませんが成長と共に背ビレが伸張し群れさすと優雅な景色になります。
また、角度によって体表が少し青く見えるのも非常に綺麗です。
性格も温和で水質にもうるさくないことから飼いやすい魚で、他の方の水草レイアウトを見ていると意外に導入されている機会を目にします。なお泳ぐ場所は下層から中層が中心です。
ラスボラエスペイ
コイ科の小型熱帯魚と言えばこの魚と言えるくらい定番の魚です。
体の中心のオレンジは非常に水草に合うことからレイアウトで使用される頻度も高い熱帯魚です。
基本的には丈夫で飼い易く、カラシン達よりも環境に左右されず群泳を継続しやすい傾向があるので、数を入れればまとまった姿を容易に見ることが出来ます。
ラスボラ・ヘテロモルファ
ラスボラエスペイ良く似たコイ科の魚です。エスペイとの違いは体高がヘテロモルファの方があり少し大きいのと、オレンジ色が中心ではなく全体的に帯びていることが特徴です。
群泳のしやすさはラスボラエスペイと同様かなり良好です。
また改良品種のブルータイプやゴールドタイプは非常に綺麗なので好みでそちらは選んでもいいと思います。
↓ヘテロモルファ・ゴールド
ミクロラスボラ・ブルーネオン
体色がライムグリーンや青色に光る非常に美しい最大3cn程度のコイ科の熱帯魚です。照明の当たり具合で体がメタリックグリーンに光る瞬間が本当に美しく他の小型熱帯魚には無い輝きを放ちます。
ミクロラスボラ・ブルーネオンは上層をかなり高速で泳ぐのが特徴で、まとまった数を入れ、少し水流を作ると群れを作りやすいです。
なお飼育に関しては気をつけたいポイントがいくつかあり、まず上層を高速で泳ぐので飛び出しに注意して下さい。
また新鮮な水を好むことから、水質には若干うるさいタイプの熱帯魚と言えるでしょう。
トランスルーセント・グラスキャット
トランスルーセント・グラスキャットは透明な体が目を惹くナマズの仲間の熱帯魚です。
この魚は泳ぐというより中層付近に固まり、留(とど)まっているようなイメージで水槽の主役にも、もってこいです。
注意点は多少大きくなるので(最大で8cm程度)エビや口に入るサイズの小型魚は食べられてしまう可能性があることです。
ネオンドワーフレインボー
ネオンドワーフレインボーはレインボーフィッシュの中でも最もポピュラーな魚です。
成魚は4~6cm程の中型魚の部類に入り遊泳性も高いので出来れば60cm以上の水槽で飼いたい魚です。
飼い込む程に体色が引き出される魚で、メタリックブルーな体色と赤いヒレが非常に綺麗で群れて泳がせると壮観な眺めになります。
アフリカン・ランプアイ
ランプアイはアフリカ地方のメダカの仲間で定番の熱帯魚としてお店で見る機会も多いと思います。
ランプアイは名前の通り目が青く光りますが群泳させてこそ、その魅力が発揮されますので、ある程度まとまった数を泳がせたいです。
また有茎草メインの明るいレイアウトよりもシダを多用した暗めの水景の方が青い目が綺麗に見えます。照明も青白いLEDで照らすとより青い目が引き立つと思います。
コリドラス・パンダ
コリドラス・パンダはコリドラスの中でも可愛いルックスで人気の種です。
またコリドラスの中でも特に群れやすい傾向がありますので水槽の主役になるコリドラスです。
水質の変化に弱い面がありますが一旦、環境に慣れてしまえば他のコリドラスと同様丈夫な部類の熱帯魚です。
コリドラス・ピグミー
チビコリとも言われ超小型のコリドラスです。また他のコリドラスより遊泳性が高いので低床に留まるだけでなく中層も優雅に泳ぎます。
このコリドラスも群れて泳ぐ習性が強く、単純に泳いでる姿がすごく可愛いのでオススメです。
コリドラス ハステータス
上で紹介したコリドラス・ピグミーと良く似た種のコリドラスです。ハステータスも小型なコリドラスで群れて中層付近を泳ぐことが多いです。
注意点は人工飼料の食い付きが若干悪い場合があるのと寿命が短め(長く生きて2年位)なことです。
群泳させやすい条件など
群泳する理由
群泳は基本的に外敵から自分の身を守る手段として行っている行動で、群れて泳ぐことによって襲われにくく、また捕食されても他の魚は逃げることが出来るので、熱帯魚だけでなく魚類全般にこのような習性があります。
ただ、野生では群れて泳いでいても、水槽内では基本的に捕食されることが無いため、緊張感が解け単独で泳ぐ種類の方が多いのが現状です。
また上で紹介した魚達は水槽に慣れた状態でも比較的群れやすい魚をまとめています。
群泳しやすい環境とは
開けたスペースを作る
そもそも泳ぐスペースが十分でないと群れて泳いではくれませんので最低でも60cm水槽で遊泳スペースを十分に取ったレイアウトにしてみましょう。
水流を付ける
魚は(種類にもよりますが)水流に向かって泳ぐ習性があるため魚が集まりやすい場所にフィルターの出水口を調整したり、水中フィルターを追加して一定の水流を付けてあげるといいでしょう。
緊張感を与える魚を入れる
ある程度の体格差があると魚がいることで緊張感ができ群泳を促すことが出来ます。
ただ気性の荒い魚を入れてしまうとストレスを与えるだけになってしまうので、縄張り意識がありつつも攻撃性自体は低い、例えばラミレジィなどがオススメです。