アクアリウムショップに行くと何種類ものかわいいエビが売られています。
これらのエビは小型熱帯魚と一緒に飼うことができ、水槽内のコケや餌の食べ残しを食べてくれるメンテナンス用員としても活躍しています。
そのためアクアリウムで水槽に観賞用のエビを入れることは一般的なことなのです。
また近年は鮮やかなカラーや独特の模様のエビが売られるようになり、観賞面でもとても人気がある生体で魚は入れずにエビだけ飼育する人も少なくありません。
今回はそんなエビ(シュリンプ)の種類や基本的な飼い方、注意点などをまとめたいと思います。
アクアショップで購入出来る主なエビの種類
エビというと海水をイメージするかもしれませんが海水を扱っているショップも少ないこともあり、この記事では淡水限定で良くショップで見るエビ達を紹介したいと思います。
つまりカルキ抜きと水温さえ気を付けていれば、普通の水で飼育が出来るエビ達です。
ヤマトヌマエビ
どのアクアリウムショップにも売られているくらいポピュラーな日本に生息する淡水エビです。
ヤマトヌマエビの特徴は何と言ってもコケ取り能力の高さでコケ対策と言えばヤマトヌマエビと言ってもいいくらい強力にコケを除去します。したがって観賞目的というよりコケ対策を第一に考え水槽に入れるケースが多いと思います。
また他の淡水エビより大型で特にメスは5~6cmくらいになることから水槽内での存在感も他のエビ比べ大きく非常に丈夫です。ちなみに淡水では繁殖は出来ないので無闇に殖えるということはありません。
注意点としてヤマトヌマエビは水槽内にコケが無いと例えばウィローモスの新芽など柔らかい水草が食べられてしまうことがあります。
ミナミヌマエビ
ミナミヌマエビもヤマトヌマエビと同じくらいポピュラーな日本のエビです。日本以外にも台湾や中国にも生息します。
ヤマトヌマエビの大体半分くらいのサイズ(2~3cm)で、こちらもコケ取り用員として良く水槽に導入されます。ヤマトヌマエビよりコケ取り能力は低いものの水槽内で容易に殖えるのでコケに数で対応するイメージです。
またミナミヌマエビの特徴として基本は半透明の体をしていますが環境によっては赤や青、オレンジなどの色にうっすら染まる個体も出てきます。それらを固定化した色鮮やかなミナミヌマエビもショップで時折見かけます。
チェリーシュリンプ
チェリーシュリンプは台湾原産のミナミヌマエビと近い種のシュリンプです。
一番ポピュラーなのは画像にもあるレッドチェリーシュリンプで全体が赤く染まり水槽内で良く映えます。
ミナミヌマエビと似ている外見の様に飼育もミナミヌマエビと同じ感覚で行えます。またミナミヌマエビと同じように繁殖が簡単なので、水槽内で容易に繁殖するのも特徴です。
赤以外にもオレンジ、イエロー、青、黒などが流通していて、鑑賞エビの中では最も多くのカラーバリエーションを持つ種です。
ただし、違う色を混ぜてしまうと交雑し稚エビの色が薄くなってしまう場合があるので基本は単一色で飼う方がオススメです。
ビーシュリンプ
ビーシュリンプ は紅白のバンドが目を引くレッドビーシュリンプを代表とする鑑賞エビのグループです。
元々は香港原産のビーシュリンプを日本の方が改良し流通したのが始まりだと言われ、今日では様々なカラーや模様のビーシュリンプが売られています。
レッドビーシュリンプはコケも食べますがコケ取りと言うより、は観賞目的で購入される代表的なエビで、また単独飼育する人も多いです。
ミナミヌマエビと同じくらいのサイズですが、今まで紹介したエビ達より若干水質に敏感な面があるため、飼育環境を整えてからお迎えしたいエビと言えます。
アルジーライムシュリンプ
中国原産のヌマエビです。
日本のミナミヌマエビと姿が酷似していますが、アルジーライムシュリンプは少し緑っぽいのが特徴です。
アルジーライムシュリンプは他のエビ達にはない黒ひげコケを食べる習性があり、その目的で導入されるケースもあります。
ただし、個体差が大きいのと完全に除去に至るまでのレベルでは無いので、予防程度に考えておく位が丁度良いと思います。
ホロホロシュリンプ
ピクシーシュリンプとも呼ばれるハワイ原産の小さなエビです。
成長しても1.5cm程度のため、今回紹介したエビ達の中でも最も小型な種となります。
本来は汽水域で生息しているエビですが、淡水で容易に飼育することが出来ます。
非常に丈夫なことからボトルアクアリウムのような小型容器で飼われる機会も多いです。
一方で、体が小さいことから混泳させると熱帯魚や大型のヤマトヌマエビには食べられてしまう可能性が高いです。
そのため、基本的には単独飼育を推奨します。
トゲナシヌマエビ
トゲナシヌマエビは日本や東南アジア周辺に広く分布するエビで、非常に丈夫でコケ取り能力も高い優秀な生体です。
ヤマトヌマエビに匹敵するコケ取り能力を持ちますがサイズがそこまで大きくない※最大でも3cm程ので、水草の食害を起こさない所や他の生体を襲わない所がポイント高いです。
また、淡水で繁殖はしませんが、その分他のエビ達よりもかなり丈夫なので一旦、水槽の水に馴染んでしまえば死んでしまうことは早々ないです。
ただし最近は流通が少なく、入手性が悪いことが弱点です。
エビを飼育する時の基本知識・注意点など
エビは種類は違っても共通している部分がありますので、飼育前に抑えておきたい主なポイントをまとめておきます。
水合わせは慎重に
エビ達は総じて水質の急変に弱い側面があります。
購入したら点滴方式で時間をかけて水合わせを行って下さい。また水合わせ中にエアーレーションを行うことも有効です。
水合わせの方法は下記の記事を参考にして下さい。
水草に付いてる農薬に注意
エビは薬品に非常に弱いので農薬が付いた状態の水草を入れてしまうと一気に体調を崩し最悪の場合死んでしまいます。
特に輸入された水草は薬品がついてることがほとんどなので注意して下さい。自宅で長期育成している水草や無農薬を明示してあるショップの水草を入れるようにしたいです。
また農薬を無害化する商品もあるのでそちらを利用するのもいいと思います。
水草を入れよう
上で触れたように無農薬の水草に限りますが水草を入れた方がエビにとって住み心地が良い水槽になります。
稚エビの隠れ家になったり水草に付いたコケを食べたりしますので、入れておくだけで繁殖・育成の両面で水草は貢献します。
特に相性の良い水草はウィローモスで卵の産みつけ場に最適です。
部屋で殺虫剤を使用しない
これも凄く良くある失敗例なのですが、蚊取り線香などの殺虫剤を水槽がある部屋で使用してしまうと水槽内に溶け込んでしまいエビ達を死なせてしまうという事例です。
ですので殺虫剤の類はエビ水槽のある部屋では使用厳禁ということを覚えておいて下さい。
底床はソイルがオススメ
水槽の底に敷く砂はソイルを使用した方が飼育が容易になります。理由としてはシュリンプは大抵、弱酸性から中性辺りの水質を好むからです。
ブリーダーの方もソイルの使用率が高いことから繁殖にも優位な環境になると考えられます。
酸欠に注意
エビは酸欠に弱いことが有名です。特に高水温となる夏場や水草水槽の夜間は酸欠になりやすい状態となりますのでエアレーションを入れた方がいい場合もあります。
酸欠気味になるとエビ達が水面に集まったり、一箇所にいて微動だにしないなど、調子が悪いサインを出しますので、このような場合はすぐにでもエアレーションを行った方が良いでしょう。
エビに餌をあげる必要があるか
エビは水槽内の微小生物や水草に付いたコケ、枯れた水草などを食べますので水槽に水草が入っていればエビ用に餌を用意しなくても飼育自体は可能です。
しかし繁殖させたい、大きい個体にしたい、体色を上げたいなどの希望があればエビ用に餌を用意する方が良いでしょう。
エビの混泳について、熱帯魚との相性は?
ヤマトヌマエビ以外のエビは大体2~3cm程度なので混泳についても少し注意しなければいけないポイントがあります。
エビ同士の混泳
基本的にはどの種類のエビを一緒の水槽に入れても飼育自体は可能です。
ただし、例えばミナミヌマエビとヤマトヌマエビを混泳させた場合、ミナミヌマエビの稚エビは食べられてしまう可能性が高いので繁殖させたい場合はさけるようにします。
また上でも少し触れたようにチェリーシュリンプの色違い同士を同じ水槽に入れると交雑してしまうので、一種類のエビだけに留めておけばそのようなケースは避けられます。
要は繁殖させたい場合は一種類のエビだけで飼うことが基本です。
エビと熱帯魚の混泳
熱帯魚は基本的に口に入るものは積極的に食べる習性があることから、エビが狙われることもあります。
特に熱帯魚のサイズとエビのサイズに体格差がある場合は危険だと言えます。
魚の種類にもよりますが3.5~4cm位を超える熱帯魚は種を問わずエビを食べる危険性があります。
特にエビが好物な代表的な熱帯魚として
- エンゼルフィッシュ
- ベタ
- ディスカス
- グラミー系
- シクリッド系
が挙げられますが他にも筆者の経験として
インパイクティスケリー、大き目のカージナルテトラ、チェリーバブルなどにレッドチェリーシュリンプが食べられてしまった経験があります。体格差自体は余り無かったのですが筆者の読み違いでエビ達が単なる熱帯魚の餌と化してしまいました。
また食べられまでしないまでも上に挙げたような魚達はエビを度々襲うのでエビが常に隠れるようになってしまいコケを食べなくなります。
まとめるとエビと熱帯魚を混泳させる場合はほぼ体格差の無いような小型熱帯魚を選ぶようにしましょう。
エビの繁殖について
エビ飼育の楽しみの一つとしてエビが水槽内で繁殖の過程を観察することが出来ることです。
先述したようにヤマトヌマエビは淡水では繁殖しないのですが、それ以外のミナミヌマエビ系、チェリーシュリンプ系、ビーシュリンプ系のエビ達はオスメスが水槽内に一緒に居れば自然と殖えていきます。
生まれた稚エビをどうするかについてですが、水草など隠れる場所が豊富にあれば混泳している熱帯魚に食べられてしまうことも少なくなるので、ある程度の数は残ります。
しかし生まれた稚エビをしっかり残したい場合はエビだけの水槽を用意してあげ、餌もエビ専用に用意するのがいいでしょう。
コケ取り能力の高いエビは?
コケ対策にはエビ無しでは、ほぼ不可能と言える位、大事な役割を持つ彼らですが、コケ取り能力にも多少の差がありますので評価をします。
最強はヤマトヌマエビ
何だかんだ言ってヤマトヌマエビのコケ取り能力の右に出るエビはいないかな、というのが私の結論です。
他のエビよりサイズが2~3倍になることもありますが体格差以上にコケを除去する能力に秀でていると感じます。
次点でトゲナシヌマエビで、場合によっては ヤマトヌマエビ がそれ以上の能力を持ちます。
他のエビ達は同じくらい
ミナミヌマエビ、チェリーシュリンプ、ビーシュリンは種類に関わらずコケ取り能力は同じような感じです。
大体このエビ達は5匹でヤマトヌマエビ1匹くらいのコケ取り能力だと思っておけばいいと思います。
あとはアルジー・ライムシュリンプというヒゲコケを食べてくれるという評判のエビですが、確かに他のエビよりはヒゲコケを食べてる様子はあるのですが綺麗に除去するまで至らない程度の能力です。
要は予防にはなるけどもこのエビだけで綺麗にするまで期待しない方がいいです。
目的ごとにオススメのエビを紹介
コケ取り重視ならヤマトヌマエビ
特に水草レイアウト水槽でコケ除去を主な目的としてる場合はヤマトヌマエビが最適です。
飼いやすさならミナミヌマエビ
ミナミヌマエビは今回紹介したエビの中でも最も安価で入手性も良いです。
また、水草を食害しない・他の生体を襲わない・大型化しない、こららの点でヤマトヌマエビより飼いやすさがあります。
観賞目的ならチェリーシュリンプ
最も水槽内で映えてかわいいエビなのはチェリーシュリンプでしょう!
チェリーシュリンプは赤・青・黄など豊富な色の種類が居るので好みに合わせて飼うことが出来ます。
また容易に繁殖する種でもあるので、殖やす楽しみを味わうことが出来るエビです。