ヤマトヌマエビとミナミヌマエビは日本原産の淡水エビで、どこのアクアリウムショップでも見る位とてもポピュラーなエビです。
両者は共通している特徴も多いので、どちらを飼うべきか迷う人もいるかと思います。
結論から言うとそれぞれにメリット・デメリットがありますので飼育環境や好みによって選ぶべきです。
ということで今回はヤマトヌマエビとミナミヌマエビの違いについてまとめたいと思います。
大きさ
ヤマトヌマエビの大きさはオスは3~4cm、メスは4~6cmまで最大で成長します。
勿論、個体差はあるのですが3~4cm程度のサイズが売られていることが多いです。
対してミナミヌマエビは最大で3cm程度になります。
要するにヤマトヌマエビの方が大きいサイズのエビですが、このサイズの違いによって以下のようなことが水槽内で起ります。
ヤマトヌマエビは混泳している熱帯魚に食べられにくく、逆に小型熱帯魚を食べてしまうことも稀にある。
ミナミヌマエビは小さいサイズほど混泳している熱帯魚に食べられやすい。
熱帯魚は全てではないですが、温和な性格な種でも口に入るものは食べてしまう傾向があり、筆者の経験だと(大き目の)インパイクティスケリーやカージナルテトラ、シルバーチップテトラに、やや小さめサイズのミナミヌマエビを食べられてしまったことがあります。
恐らく、その時は魚達の大きさは4cm程度でミナミヌマエビは1.5~2cm程度だったと思いますが、この位の体格差でも食べられてしまうんですね。
対してヤマトヌマエビの場合はメスは特に大型化することもあり、余程サイズ差が無ければ食べられてしまうことはほぼ無いと思います。
逆に大型のヤマトヌマエビが小型熱帯魚を食べてしまうこともあります。特にメスは大型化するので小型熱帯魚との混泳は気を付けないといけないですね。
あと当たり前のことですがヤマトヌマエビの方が大きいのでそれだけ水槽内の存在感があります。
エビ達には、あくあまでコケ取りの脇役として飼いたい場合には、主張が強すぎるので特に大型化したメスのヤマトヌマエビは入れない方がいいです。
そういった面ではミナミヌマエビの方が水槽内で目立ちにくい傾向はあります。
寿命
寿命についてですがミナミヌマエビは約1年、ヤマトヌマエビは3~4年程度が目安です。
ただし後述しますがミナミヌマエビは繁殖を行うので各世代で渡り繋ぐことが可能です。
そしてヤマトヌマエビの寿命については非常に幅があり平均的な飼育下では3~4年程度が妥当かと思いそのように書きましたが6~7年程度生きる個体も珍しくは無く中には10年以上飼育しているという報告もあります。
どっちが丈夫?
両方とも丈夫な種なため甲乙つけがたいですが、あえて差をつけるのであれば水温と水質の適応幅が大きいのはミナミヌマエビです。
ミナミヌマエビは水温1~30℃程度、pHも弱酸性から弱アルカリ性と幅広い水質に適応出来ます。
対してヤマトヌマエビも低温にも強いのですがミナミヌマエビよりは劣り、水質も低pHだと耐えられない傾向があります。
但し他の熱帯魚から襲われにくいことや寿命はヤマトヌマエビの方が長いので、そういった側面ではヤマトに分があります。
付け加えるなら例えばメダカの屋外飼育等ではミナミヌマエビの方が向いていています。
繁殖
繁殖については両者で大きな違いが見られます。
ミナミヌマエビは水槽内で容易に繁殖が可能ですがヤマトヌマエビは抱卵自体はしますが孵化した幼生を汽水(海水と淡水の中間の塩分を持つ水)下で飼育しなければならず淡水での繁殖は出来ません。
よって繁殖することを楽しみたい方にとってはミナミヌマエビが向いていますが、無闇に生体の数を増やしたくない方はヤマトヌマエビの方が向いていると言えるでしょう。
コケ取り能力
結論から言うとヤマトヌマエビの方が高いです。
体格差以上にコケ取り能力の差があると考えられヤマトヌマエビ1匹=ミナミヌマエビ5~7匹くらいの力の差があると思っておいていいでしょう。
よってミナミヌマエビによってコケ除去を考える際にはヤマトよりも多めに入れることが必要になります。
但しヤマトヌマエビは能力が高い故、コケが無いと柔らかい水草が食べられてしまうことがあります(食害)。
例えば新芽のウィローモスやリシア、グリーンロタラ等が食害に遭いやすいです。
鑑賞性(見た目)
見た目の話しなので主観により大きく異なりますが、一般的にはミナミヌマエビの方が小さくてかわいいという意見が多いです。
逆にヤマトヌマエビはその大きさからも、人によっては苦手に感じる人もいるようです。
更にミナミヌマエビは飼育環境によって黒、黄、赤、青っぽい個体になることが稀にあり飼育者を楽しませてくれる一面もあります。
ヤマトヌマエビとミナミヌマエビの混泳
ヤマトとミナミは一緒の水槽で、飼えないことは無いのですが、体格差があるとヤマトヌマエビは小さいミナミヌマエビを食べてしまうことがあります。
またミナミの繁殖も余り期待することが出来なくなるので、必然的にミナミヌマエビは数が少なくなる傾向になります。
但し水草が全体的に繁茂している水槽であれば、ミナミが水草に隠れることが出来るので共存出来る確率を高めることは出来ます。
まとめ
以上ヤマトヌマエビとミナミヌマエビの主な違いでした。
それぞれメリット・デメリットがありますので個人の飼育環境や好みに合わせてどちらかを選ぶといいと思います。
ちなみに個人的にはミナミの見た目が好きですがコケ取り能力の信頼感からヤマトを選ぶ方が多いです。
私のように水草水槽でコケ対策のためにエビを入れる人はどちらかと言うとヤマトの方が多いと思います。
対してメダカの屋外飼育では小さいミナミヌマエビの方が選ばれることがほとんどです。結局は目的によって適材適所で選ぶことがベストではないかと思います。