LED照明で水槽を照らすことはアクアリウム界のスタンダードとなりました。最近ではしっかりと水草が育つ高い光量を発するタイプも目立ち今後もしばらくはLED照明が主流となっていくでしょう。
各社から様々なモデルが発売されていますが今回はその中でも特に定番で人気がある商品を紹介し比較などを行っていきます。
買う前に見るべきLED照明のポイント
まずはLED照明がどれくらいのスペックなのかわかるように商品パッケージ等に書いてある単位を把握しておきましょう。
lm(ルーメン)
一言で表すとその照明の発する明るさです。水草水槽ではとにかく光量が一番大事なので後術する色温度や波長よりもまずルーメンに着目して下さい。
水草をあまり育てない場合でも暗すぎる照明だと熱帯魚の色がぼやけてしまい観賞に不向きな場合もあります。どの位のルーメン数が必要なのかは後術します。
色温度/K(ケルビン)
色温度とは光の色のことでありK(ケルビン)で数値を表します。色温度は直接、水草の生長には関係がありませんが色温度によって水槽全体の見た目の印象が変わりますので鑑賞面で非常に大事な項目です。
アクアリウムの照明は大体7000k~8000kくらいの商品が多く数値が上がるにつれ青っぽい見た目になります。青っぽい方が水の透明度が高く感じられ清涼感がある印象になりますが赤系の水草や生体が映えにくいという側面もあります。
この辺りは好みなのでお店で実際に水槽を照らしている色を見に行ければベストですね。
波長/nm(ナノメートル)
光には波長があり、それぞれ赤・青・緑・黄・紫など色を持ちます。特に光合成に利用される波長として青(430~490nm)と赤(640~770nm)の二つの波長が重要と言われLED照明でもそれら二つの波長をカバーした商品であることを強調したものも売られています。
しかし、全体の光量の方が重要でこの項目はあくまで補足程度に捉えていた方がいいと個人的には思います。要はいくら良い波長のライトでも暗かった意味が無いということです。
演色性(Ra)
演色性とは自然光が物を照らした時の色と比べ照明がどの程度再現されているかの値です。平均演色評価数(Ra)を使うことが一般的でRa100が自然光が当たった時と同様の色が再現されているとし100に近い程いい指数となります。
要は照明の光が当たったときに太陽と比べどの位自然なのか表す指標です。とは言っても最近は80~85程度の高演色のライトがほとんどなので余り気にしなくてもいいかもしれません。
ワット数(W)
言うまでも無く消費電力のことですが1W辺りの光量(ルーメン数)は商品によって違いますので、これが高ければ省エネな商品と言い換えることが出来ます。
LEDは省電力と言われていますが水草水槽用のLED照明はそれなりのワット数を消費するので購入前に確認しておきましょう。
水草水槽に必要な光量とは?
前項で水草を育てるために一番重要すべき点は光量(ルーメン)だと書きましたが、どれ位のルーメンが必要なのか表にしました。
水槽サイズ | 水量 | ルーメン |
20×20×20cm | 7L | 400lm以上 |
30×30×30cm | 25L | 1000lm以上 |
45×27×30cm | 34L | 2000lm以上 |
60×30×36cm | 60L | 3000lm以上 |
90×45×45cm | 166L | 6000lm以上 |
120×45×45cm | 219L | 8000lm以上 |
この表を参考にする際の注意点や補足
この表はCO2添加を前提としほとんどの陽性水草を育てるのに必要な光量を示しています。
ですので例えばCO2添加をしない場合はこの数値より低くても問題なく、また陰性メインの水草水槽の場合や水草を育てない場合はこの光量の半分程度を目安にして下さい。
この数値は目安であり絶対にこれ以上のルーメンではないと育たないということではありません。あくまで十分な光量という意味合いで作成しましたのでこれより低い光量の照明でも水草を元気に育成している報告は多数あります。
この数値の根拠ですが十分な光量を確保されていると言われている照明のルーメン値を参考に作成しました。例えば30~60cm水槽では後に紹介するADAアクアスカイ、90cmではテクニカLEDライトなど、そのライト一つで水草が十分に育つと評判の機種のルーメン数を参照しています。
人気のLED照明一覧
では現在流通しているLED照明の定番商品とそのスペックを紹介します。
※ADA以外のLED照明は大手アクア用品通販ショップチャームのセールではない時の価格を記しています。
※価格は記事作成時のものとなりますので変動している可能性があります。
ADA アクアスカイG
http://www.adana.co.jp/jp/contents/products/na_lighting/aquasky_g/index.html
ADA社が初めて出したLEDライトがアクアスカイシリーズで突出したデザインと光量で多くのアクアリストに使用されています。
初代アクアスカイは光量は凄いが少し黄色がかっている印象を与えるという意見がありましたが、現在販売されているアクアスカイGはこの点が改善され水草の緑を引き出すような鮮やかな色合いになっています。
総合すると光量とデザインが両立されたハイスペックなLED照明となっています。それ故、値段もそれなりにします。
アクアスカイGのスペック表
※価格は公式サイトの定価を参照していますので実売価格は1割程度安くなります。
適合水槽 | 30cm | 36cm | 45㎝ | 60cm (アクアスカイ601) | 60㎝ (アクアスカイ602) |
lm | 900~1200 | 900~1200 | 1400~1600 | 1800~2100 | 3600~4200 |
色温度 | 7000~8000k | 7000~8000k | 7000~8000k | 7000~8000k | 7000~8000k |
消費電力 | 15w | 15w | 22w | 30w | 60w |
価格(税込み) | 12,960円 | 13,500円 | 18,360円 | 20,520円 | 37,800円 |
アクロ TRIANGLE LED BRIGHT
アクロ TRIANGLE LED BRIGHT
アクロはアクアショップ・チャームのオリジナルブランドですが、このLED照明は現行で流通している照明の中ではコストパフォーマンスが抜きん出ています。
結論から言ってしまうとこの明るさで、この値段は他のLED照明ではありません。また1W当りのルーメン数も高く省エネでもある照明です。
アクロのLEDは他にも形や色が異なるバージョンがありますが単純に明るさと値段だけで見るならこのBRIGHTが一番良い性能をしています。
アクロ TRIANGLE BRIGHTのスペック表
適合水槽 | 30cm | 45cm | 60㎝ | 90cm | 120㎝ |
lm | 1950 | 2800 | 4200 | 7000 | 8400 |
色温度 | 7300k | 7300k | 7300k | 7300k | 7300k |
消費電力 | 14.5W | 24.4W | 36.6W | 61W | 73.2W |
価格(税込み) | 4,610円 | 6,590円 | 8,640円 | 13,900円 | 17,700円 |
※価格は記事作成時のものです
GEX クリアLED POWER X
大手アクアリウムメーカーGEXが出しているLED照明で一番性能が高いのがこのクリアLED POWER Xです。
特徴はボディが黒く非常に薄いのでかなりスタイリッシュな外見になっています。色温度11000K、演色性82と色見にもこだわりがあり実際に点灯した水槽を見たことがありますが中々いい印象を受けました。
但しこの一台だけでは光量的に全ての水草を元気に育てることは難しいので用途に併せて複数台を設置することも考慮するといいと思います。
GEX クリアLED POWER Xのスペック表
適合水槽 | 20~30cm | 40~50cm | 60㎝ | 90cm |
lm | 300 | 1000 | 1400 | 2100 |
色温度 | 8000k | 11000K | 11000K | 11000K |
消費電力 | 5.5W | 14.5W | 22W | 29W |
価格(税込み) | 3,920円 | 5.520円 | 6,800円 | 9,260円 |
kotobuki フラットLEDツイン
コトブキ工芸の高光量タイプのLED照明。この照明は元々フラットLEDという既存の商品を二枚連結させ明るさが二倍になった商品です。
そこそこの値段、明るさ、無難なデザインと選択肢の中に入る照明ですが少し残念なのはツインタイプはブラックカラーが60cm用しかないこと。
光量は落ちますがフラットLEDなら全てのサイズでブラックかシルバーか選べるので光量が必要無い人はそちらでもいいと思います。
kotobuki フラットLEDツインのスペック表
適合水槽 | 30cm | 45cm | 60㎝ |
lm | 980 | 1750 | 2550 |
色温度 | 8500k | 8500k | 9200k |
消費電力 | 15W | 24W | 34W |
価格(税込み) | 5,420円 | 7,407円 | 13,300円 |
ZENSUI LED PLUS
ゼンスイのLEDの特徴はチャームで詳細を見る1W当りのルーメン数が優秀(1w/1118lm)なので省電力であり、また色も4種類あり飼育する魚などによって選択出来ることがメリットです。
そのような特徴があることからアクアリウムショップの生体水槽ではゼンスイのLEDが使われている頻度が高い気がします。一方、水草を本気で育てるなら多灯しないとやや厳しいスペックとなっています。
ZENSUI LED PLUSのスペック表
※水草育成用のストロングホワイトのスペックです。他の色だと色温度等が変わってきます。
適合水槽 | 30cm | 45cm | 60㎝ | 90cm | 120㎝ |
lm | 875 | 1050 | 1724 | 2150 | 2907 |
色温度 | 6500k | 6500k | 6500k | 6500k | 6500k |
消費電力 | 8.6W | 10W | 18.7W | 24W | 31W |
価格(税込み) | 4,830円 | 6,830円 | 9,330円 | 13,250円 | 16,600円 |
各LED照明の比較
それでは上記で紹介したLED照明の比較表です。最も使用される頻度が高い60cm水槽用のモデルで比較を行っています。
また右端の数値は1lm当りの金額を計算したものでコストパフォーマンスの参考のために載せました。勿論、数値が低ければ低い程明るさに対しての値段が安いということになります。
商品名 | ルーメン | 色温度 | 消費電力 | 価格(税込み) | 1lm/円 |
ADA アクアスカイG601 | 1800~2100lm | 7000~8000K | 30W | 20,520円 | 9.7円 |
ADA アクアスカイG602 | 3600~4200lm | 7000~8000K | 60W | 37,800円 | 9円 |
アクロ TRIANGLE LED BRIGHT | 4200lm | 7300K | 36.6W | 8,640円 | 2円 |
テクニカ LED ライト クリアー | 3910lm | 10000K | 48W | 30,600円 | 7.8円 |
GEX クリアLED POWER X | 1400lm | 11000K | 22W | 6,800円 | 4.8円 |
kotobuki フラットLEDツイン | 2550lm | 9200K | 34W | 13,300円 | 5.2円 |
ZENSUI LED PLUS | 1724lm | 6500K | 18.7W | 9,330円 | 5.4円 |
コスパに優れたLED照明は?
上の表からもわかるようにアクロのLEDが他を突き放してダントツでコスパが高いです。
同じ位の明るさのADA アクアスカイG602と比べて4倍程度安く買えてしまいます。てことで明るさとコスパだけで見るなら現状アクロ TRIANGLE LED BRIGHTがオススメです。
水草を本気で育てるなら
アクアスカイG602、アクロ TRIANGLE LED BRIGHT、テクニカ LEDの光量なら陽性水草を元気に育てるのに一台でも十分な明るさです。
他のLEDは一台だけでは物足りない場合が考えられそのような場合はもう一台追加して多灯する必要が出てくる可能性があります。
陰性水草、観賞魚メイン水槽なら
水草は陰性で熱帯魚の鑑賞が主な目的ならGEX、kotobuki、ZENSUIのLEDでも全く問題ありません。
逆に明るすぎる環境というのはそれだけコケが発生するリスクも高まるので上記のような使用目的ならこれくらいの光量で十分です。
まとめ:用途に合わせて自分好みのLEDを選ぼう
まずはどんな水槽にしたいかを明確にし、それに合わせてLED照明を選ぶといいと思います。
例えば水草水槽なら高光量なものから選び、生体メインなら程ほどの光量で色やデザインで選んでもいいと思います。
LEDの良いところは基本的に省スペースなのでもし一台目を買ってもっと光量が欲しくなった時、二台目を設置出来るスペースがあるところです。
また照明というのは数値だけでは色や大きさがイメージし辛いものなので実際にアクアショップに出向き照明が稼働している水槽を見ることが出来れば一番良いですね。